酒づくりの言葉・酒蔵ごよみ――「初揚げ」 | こめから.jp | お米のチカラで豊かに、上質に。

初揚

酒蔵だより

SAKAGURA

2017.11.15.

酒づくりの言葉・酒蔵ごよみ――「初揚げ」

昨期に仕込んだ酒を秋口まで熟成させた「冷やおろし」の発売が賑わいをみせる頃、酒蔵では総勢16人の蔵人が張り詰めた空気のなかで新たな年の酒造りを始めています。10月、この秋に仕込んだ酒を初めて搾る「初揚げ」を迎えました。初揚げとは、新酒の完成を意味する大変おめでたい言葉であると同時に、酒蔵にとっては重みのある節目の一日でもあります。この初揚げの出来こそ、今期の酒造りの道しるべとなるからです。

蔵人たちは昨期の酒造りを終えたあと、真夏の限られた時間のなかで過去の仕事を真摯に顧みてこれからの酒造りを見据え、改善しなければなりません。貯蔵タンク200本それぞれから少量ずつ酒を汲み出して、仕上がりの具合を確かめる「呑み切り」や、蔵人をはじめ調合、火入れ担当者など総出で酒を唎く「総唎き」を行います。五感で得られる酒の味わいと香り、科学的な数値をもとに、夏の天候から米の出来具合を読んで洗米時間の1秒の違いまでを熟慮し、諸事万端整えて今期の仕事に挑むのです。その一つ一つが正しいのか否か。麹や酵母をうまく育てられているだろうか。今年の酒は去年より旨いと言ってもらえるのだろうか。杜氏や蔵人にとって「初揚げ」は、そのような道のりを歩んだ今期の酒造りを占うことであり、緊張が最高潮に達する瞬間なのです。

先日、無事に「初揚げ」を迎えられたことを祝って、蔵内ではささやかな宴席が開かれました。搾ったばかりの新酒をともに味わいながら杜氏と蔵人らが安堵と内省を分かち、また新たな決意で今期の酒造りに邁進します。新酒の季節がいよいよ幕明けです。

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